キャリア・働き方

看護師の離職率と離職理由|新人・全体の傾向、辞めたくなる主な理由と辞める前にできること

更新日:2026/09/08 読了目安:約7分 執筆:看護リーチ キャリアアドバイザー

看護師の離職率の傾向(新人・全体)、離職につながる主な理由、辞める前に試せる対処と転職を決める判断基準をキャリアアドバイザーが解説。「辞めたい」と感じたときに、次の一歩を冷静に選ぶための材料になります。

「みんなどれくらい辞めているのだろう」「自分だけが弱いのではないか」。辞めたいと思ったとき、多くの看護師がまず知りたくなるのが離職率です。数字を知ることで、自分の状況を客観的に見られるようになり、「辞める」「続ける」以外の選択肢にも目が向きます。この記事では、看護師の離職率の傾向、離職理由として多いもの、辞める前に試せること、そして転職を決めるときの判断基準をまとめました。

看護師の離職率の傾向

日本看護協会が毎年実施している「病院看護実態調査」によると、病院の正規雇用看護職員の離職率は、近年おおむね1割強で推移しています。新卒看護職員の離職率は1割前後、既卒(中途採用)の離職率はそれより高い水準で、既卒者の方が定着しにくい傾向が続いています。

この数字をどう読むかですが、他の産業と比べて看護師の離職率が突出して高いわけではありません。一方で、次のような特徴があります。

  • 都市部の病院ほど離職率が高い傾向がある
  • 病床規模が小さい病院ほど既卒の離職率が高くなりやすい
  • 中途採用者は「即戦力」を期待されて教育が薄くなり、1年以内に辞めるケースが目立つ
  • 離職率が高い病院と低い病院の差が大きく、平均値だけでは実態が見えない

つまり、「看護師だから辞めるのが普通」でも「辞めるのは自分が弱いから」でもなく、職場の環境要因が大きいということです。

看護師が辞めたくなる主な理由

離職理由は一つではなく、複数が重なって限界に達するのが普通です。相談の中で多い理由を整理します。

理由具体的な内容
人間関係先輩や上司との関係、医師からの威圧、派閥
業務量と残業人員不足、記録や委員会で終わらない残業、休憩が取れない
夜勤・不規則勤務睡眠障害、体調不良、家庭との両立の難しさ
給料への不満業務量や責任に対して給料が見合わない、昇給が緩やか
教育・成長の不安教育体制が薄い、希望の部署に配属されない、専門性が身につかない
医療事故への不安責任の重さ、インシデント後の心理的負担
ライフイベント結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤
看護観の違い業務優先で患者に向き合えない、理想とのギャップ

新人の場合は「業務についていけない不安」「人間関係」「理想とのギャップ」が中心で、中堅以降は「働き方の見直し」「給料と評価」「ライフイベント」の比重が増えていきます。

アドバイザーのひとこと 「辞めたい理由」を一つに絞れない方は、紙に思いつくまま書き出してみてください。書いてみると、本当につらいのは一つか二つで、他はそれに引っ張られた不満だと気づくことが多いです。その一つが「環境を変えれば解決するもの」か「どこに行ってもついてくるもの」かで、次の行動が決まります。

辞める前にできること

辞める決断の前に、次のような手段が残っていないかを確認してみてください。転職は有効な選択肢ですが、順番を飛ばすと後悔しやすくなります。

  1. 部署異動を申し出る: 同じ病院でも病棟が変わると人間関係も業務も一変します。看護部への相談が入り口です
  2. 勤務形態を変える: 夜勤回数の調整、日勤のみへの変更、時短勤務など。制度があるのに使っていないケースは意外と多いです
  3. 休む: 有給や病気休暇でいったん距離を置くと、判断力が戻ります。体調が崩れているなら、休職も選択肢です
  4. 相談する: 師長、教育担当、産業医、院外の相談窓口。一人で抱えないだけで状況は変わります
  5. 情報を集める: 他の職場の条件や雰囲気を知ることで、「今の職場が普通ではない」あるいは「今の職場も悪くない」と相対的に見られます

これらを試したうえで改善しない、あるいは体調や安全に関わる状況であれば、辞めることをためらう必要はありません。

転職を決める判断基準

「続ける」か「辞める」かで迷ったときの目安をまとめます。次に当てはまるなら、転職を具体的に検討して良いタイミングです。

  • 体調に影響が出ている(不眠、食欲不振、動悸、出勤前の涙など)
  • 異動や勤務変更を相談したが、聞き入れられない・改善の見込みがない
  • 医療安全上の問題が放置されており、自分が事故の当事者になりそうだと感じる
  • 学びたい領域や目指すキャリアが、今の職場では実現できない
  • ライフイベントに合わせた働き方を、今の職場では選べない

逆に、次の場合は少し様子を見るか、条件を絞って動く方が安全です。

  • 入職から数か月で、業務に慣れていないことが不安の中心になっている
  • 特定の一人との関係だけが問題で、異動でほぼ解決しそう
  • 具体的な不満はないが「なんとなく」辞めたい

アドバイザーのひとこと 1年目で辞めたいと相談に来る方には、「辞めるのは決めていい。ただ、次の職場を決めるまでは辞めないでほしい」とお伝えしています。収入が途切れると焦って条件の悪い職場を選びがちです。在職中に見学や面接を進め、次が決まってから退職を伝える流れが、結果的に一番ダメージが少ないです。

離職率の低い職場を選ぶには

転職先を選ぶときは、離職率そのものを聞くのが一番早いです。答えてくれない場合は、次の情報から推測できます。

  • 常に求人を出している(欠員が埋まらない、または定着していない可能性)
  • 平均勤続年数や年齢構成(中堅層が抜けていないか)
  • 教育体制の具体性(中途採用者にも指導者が付くか、期間はどれくらいか)
  • 有給取得率と残業時間(数字で答えられるか)
  • 見学時の雰囲気(スタッフの表情、挨拶、休憩の取れ方)

複数の職場を比較して初めて分かることも多いので、1か所で決めずに2〜3か所は見比べることをおすすめします。

よくある質問

Q. 新人看護師が1年以内に辞めると、その後のキャリアに響きますか?

理由を聞かれることはありますが、それだけで採用されないことはほとんどありません。次の職場を「教育体制のある職場」に絞り、面接で学ぶ姿勢と続ける意思を伝えられれば十分です。体調を崩してまで続けるよりも、早めに環境を変える方が長期的には有利です。

Q. 離職率が高い職場はすべて避けるべきですか?

必ずしもそうではありません。急性期病院や都市部の病院はもともと離職率が高めですが、教育や専門性の面で得るものも大きいです。「なぜ高いのか」を面接で聞き、自分が許容できる理由かどうかで判断してください。

Q. 辞めたい気持ちが強いのですが、退職を伝えるタイミングはいつが良いですか?

就業規則の退職予告期間(多くは1〜3か月前)を確認し、次の職場の内定が出てから伝えるのが基本です。年度末や賞与支給後は退職者が集中するため、早めに意思を伝えて引き継ぎ期間を確保すると、円満に進みやすくなります。

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